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先ほどのような触れるだけのキスではなく
恋人同士のような深いそれ
いつの間にか侵入していた田島の舌が俺の口内を犯す。
「ん、…やめ……っふ」
なんとか解放して貰おうと身をよじるが、舌を絡められ吸われると力が入らない。
角度を変え執拗に攻められて、脚が震えた。
舌が絡み合う度に聞こえるいやらしい水音に耳まで犯されている気分になる。
脚が、腰が、まともに機能をはたしていないような気がするほどの激しいキスに混乱する。
ようやく唇が解放されると俺はすぐ後ろにあったロッカーに崩れるようにもたれかかった。
息が苦しい
頬が、熱い
生理的な涙が滲む。
「はぁ…っは、い…きなり、何すんだ、よ…っ!」
足りない酸素を補うように肩で荒く呼吸を繰り返しながら、俺は田島を睨みつけた。
「花井がなんでも欲しいもんくれるってゆーから勝手に貰うことにした!」
田島は自分の唇をペロリと舐めると満足そうにニカッと笑った。
その仕草に先ほどのキスをなまなましく思い出してしまい、頬が更に熱くなる。
「いい意味わかんねーって!しかもなんでき、キ…スとかっ!普通しねぇだろ!?」
「なんで?好きなやつにはキスすんのフツーだろっ」
「………………へ?」
……………………
「すき」って……
「好き」……!?
田島が!?俺をっ!!?
余りのことに混乱して開いた口が塞がらない。
ポカンとしている俺を気にする様子もなく話を続ける田島。
「初めはちゃんと告白してからにしよーと思ったんだけどさー、花井ニブイくて全然気付いてくんねーんだもん!」
「な、な」
「今日誕生日だし!せっかくだからちゅーしちった」
そういってへへッと笑う田島。
誕生日ならなにしてもいいのかよ!!!
い、いや…そもそも誕生日忘れてた俺が悪いのか?
それにしたっていきなりキ、キスとか………!!
「それに花井が悪いんだからなー!オレの誕生日わすれんだもん、しかもなんか適当にはぐらかして答えてくんねぇし」
俺は田島の言葉にうつ向く。
「………って」
「花井?」
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