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出会いの瞬間、
そうして二人が
見つめあっていたのは、
ほんの、十数秒。
しかし、二人には、
永遠の長さにも、
光の速さにも感じられた。
間もなく、
正治とアヤの間を、
たくさんの行き交う人々が隔てる。
「長岡さん、こちらに」
「あ、はい」
主催者に促され、
アヤは呪縛から解かれて。
二人の世界は、
突如として色を成し、
時が刻まれた。
アヤは、正治を見失わないように。
恋に浮かされた瞳だけは、
彼から離さずに。
正治も、
まるでここでアヤを焼き付けなければ、
永遠に逢えないとでもいうように。
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