平成19年3月28日

2/4
前へ
/284ページ
次へ
余命いくばくもないと宣告され、 覚悟を決めてくださいと言われたのは、一年前のこと。 それから、親族を集めて下さいと告げられ、持ち直したのは半年前のこと。 親族の心の準備は、 とうに出来ていた。 彼の尋常ならざる生命力を、 彼を知る全ての人が、 彼らしいと評した。 その瞬間は、 穏やかな時間の流れの中、静かに訪れた。 あまりにも ごく自然であったため、 枕元に集う親族一同は、 彼が息を引き取ったことに気付かなかった。
/284ページ

最初のコメントを投稿しよう!

355人が本棚に入れています
本棚に追加