平成19年3月28日

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別れを告げる時間を、 祖父が与えてくれたため、 沙歩は不思議と 哀しくはなかった。 ただ、自分や、伯父伯母と きちんと向きあってから 息絶えた祖父を、 祖父らしいと、思った。 快晴だった。 春の陽気を孕んだ朝は澄み渡り、 沙歩は信号待ちをしながら、 車の窓を全開にする。 そして、祖父と、 祖父の愛すべき妻を、 想うのだった。
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