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テーブルに並べた食事は朝から妙に豪華だった。
仕事が忙しく、なかなか早く帰ってこれない僕にとって至福の時間とも言える。
海蘭は高校生になるが料理、洗濯、家事全般をこなせる。自慢の娘である。そんなこと口が裂けても海蘭には言わないが。いつお嫁に行っても恥ずかしくはない子に育ててきたつもりだ。
だが、しかし勿論行かす気はない。
まだ高校生。男女交際すら早いよ…。
「あのね。パパちょっと話があるの…。」
「ん?どうした?小遣いならこの前やったろ?」
「ううん。お小遣いじゃなくて…。」
なんだ。妙に顔を赤らめてこっちを見つめてくる。もじもじとしたその仕草もまた可愛い。
「どうした?トイレ行きたいならー…」
「実はねっ…。」
パパのお食事中にはそぐわないお下劣ジョークをかき消し、意を決したかのように海蘭は喋り出す。
「私、クラスの子に告白されて…。」
なんだ。そんなことかい。可愛い海蘭のだもの。中学時代からいっぱい告白されてたじゃないか。今さらビックリするわけない…
「でね、私その人と付き合おうと思うんだけど…。」
そっかそっか。付き合うか…。そりゃいいことじゃないか…。
…。
……。
………。
な、な、な、なにぃい!!!
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