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ここでは軍人と民間の境がない。もちろん、あることはあるが、みんな仲が良い。さっき手伝いに行った兵みたいに…
「すいません。ちょっときていただけますか?」
違うひとが僕に声をかけてきた。現地の人だ。ちょっとお年寄りの。
「どうしました?」
「井戸の桶を落としてしまって…目が悪いもので見えないんですよ。」
「神崎~、行けよ。」
「松田~、お前も来いよ。」
その人の家について、桶を取ってやった。
「ありがとうございます。」
この家に来るまでにその老人と話をしたが、きれいに日本語を話した。日本の委任統治領だ、当たり前なんだろう。
夜になると、現地の人々が我々のために夕食をつくってくれた。それはおいしかった。そのあとは人々と歌をうたいながら過ごしていた。上官も、中川連隊長も一緒に。ますます不思議な気持ちになった。でも、気持ちが安らぐ。ここの人たちはとても優しい人たちだ。
だが、どうしてなのか少し疑問があった。
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