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私の名前はローベルリリア。     女ローベルリリアは、腐った村メロルに生まれました。     私ローベルリリアの母親は、生まれて早くに飢え死にしてしまい、父親はつい最近、どこかへ食べる物を探しに行ったっきり、ずっと帰って来ないのです。     この村には、たくさんの痩せこけた人々がおりました。   ガリガリに痩せている動物達も、たくさんおりました。   最近、近隣の町や村は、水が涸れ、ほとんどの地が砂漠となっておりました。     生き残った人々は全てメロルの村に集まって来たのです。   メロルの人々はそれを快く受け入れましたが、この村もいつ砂漠となるかわからず、人々は日々怯えながら生活していました。     メロルの人々は、飢えをしのぐ為、毎日動物を殺したり、土に落ちている腐った食べ物を口にしました。   人々は暗闇が近付けば、メロルの動物達に寄り添って眠ったのです。     人々は喧嘩などしませんでした。   人々は毎日笑いながら暮らしていました。     腐った村の人々は、ただ肉が腐り逝くのを待つしかなりませんでした。   『生きていればいつか必ず良い事がある』    腐った村の人々は、誰かが言ったその言葉を生きる希望にし、命の灯を守り続けました。   メロルの村の人々は、雨の日も風の強い日も、いつだって薄暗い空を見上げていました。   大好きなものが目の前にあるからこそ、人々は生をまっとうしようとしました。       いつ無くなるかわからないメロルの村が腐り行くのをただ待つ事しか出来なかったのです。  
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