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女の子の好きな物
それは―――
「あぁ、なんて美しく美味しそうなのかしら」
ケーキ
うっとりとショーウインドーに張り付いて瞳を輝かせているエルも例外ではなかった。
色取りどりのフルーツに生クリームやチョコをふんだんに使っているそれらに熱い視線を送っている。普段は大人びて見える彼女も今は年相応の普通の少女だった。
「はい!!お待たせ、エルちゃん」
店の奥から恰幅のいい中年男性が出て来てエルを呼ぶ。その声により一層瞳を輝かせエルは飛び付くように男に駆け寄った。その姿をほほえましく見てから机にそれを置いた。
「今日は旬のフルーツをたっぷり使ったタルトだよ」
「きゃ~~、美味しそ~!!
李【リ】さん、天才!!」
言葉通りフルーツのいっぱい乗ったタルトを見て、エルはこれを作ったパティシエである李を絶賛した。李は照れて恥ずかしそうに頬を掻くとフォークを取り出しエルに渡す。
「お世辞はいいからさっ。ほら食べてくれ!!エルちゃんのために特別作ったんだ」
「いいのっ!?じゃあ遠慮なく~。いただきま~す。
ん~~!!美味し~い~!!李さんのケーキなら毎日食べてたいわ」
タルトを切り幸せそうに食べるエルに李は笑顔を向けていたが、急に何かを思い出したようにエルに言った。
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