蒼い陽炎

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強風に煽られながら辺り一面にピンク色の小さな花びらが舞踊る。 その花びら達は風に揺られ何処へ行く。 そして何処へたどり着く… 私が恋した季節… 春の光は優しさ… 春の風は心の強さ… それはまるで恋愛のような… そう… 貴方達に出会ったのもこの季節… 今でも昨日の事のように思い出せる… 18年前のこの季節… 「あれから私もおばさんになったわ…」 そんな言葉を漏らしながら遠いあの日を細い目をしながら蘇らせていた。 そしてあの日貴方と通った学び舎にはあの時と同じだけの満開の桜が咲き乱れる。 貴方と出会ったあの季節がまた今も… 春になった今も貴方との事を一時だって忘れた事はない… そしてあの人の事も…。 そんなもの思いにふける本多 香 (ほんだ かおり)30歳。
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