出会い

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「新入生退場」 淡々とした言葉だけがマイクを通して体育館いっぱいに響きわたると一斉に新入生達が退場をし始めた。 その中に私 本多 香 12歳も居る。 私はこの時辛くて苦しくて重い気持ちで一杯だった。 この中学校は小学校からエスカレーター式で面子も変わらずそのまま中学校へ上がるという仕組み。 っと言うよりは昔なりの小中学校と言った方が早いだろう。 では何故そんなに憂鬱なのかと言うと何故なら私は… 『いじめ』と言う現実に悩まされていたからだ。小学校五年生で東北から転校してきた私を見るみんなの目はまるで物珍しそうに見つめる檻の中に居るパンダのように… しかしそんな物珍しそうに見るのも初めだけだった。 そのうち標準語を使えない私に対してみんなの目は次第に冷たくなってきた。 そして私は言葉が通じない事から「宇宙人」と言うあだ名がつけられた。 それからだった。 生まれて初めて「イジメ」と言う私にとって最低最悪の人生だと感じさせたこの瞬間。 それでも初めの頃は友達が欲しくて一生懸命言いなりになったりもしたし話しかけてみたりもした。 けどみんなは私の努力をあざ笑うかのように言うことがドンドン杜撰でいった。 こんな事位なら透明人間になって1人で居たいと何度となく思っていた。
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