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初恋
案の定私はこのクラスで1人きりだった。
分かりきっていたはずだったのに何故か寂しさも心に蘇る。
移動教室の時も決まって1人きり…。
寂しさになれた筈なのに…。
給食も1人…。
そう…
私は朝この教室へ来てから数えられる位しか喋る事はない…
そして決まって放課後になると保健室に行っていた。
「また来たか?一年坊主!」
そう話しかけてきたのは三年生の野村 穣(のむら みのる)先輩だった。
この穣先輩は暴走族に入り高校に上がると同時に暴走族の頭になると言う噂で一.二年生からはかなり怖がられていた。
ワックスで固められたリーゼント。
Tシャツが短ランの裾から覗き太すぎる位のボンタンが彼のトレードマークになっていた。
「坊主じゃありません。私女ですから。」
私はさり気なくそう言い返すと穣先輩は吹き出すように笑った。
「じゃあ一年尼か!」
そう言うと凄い勢いで笑う。
何?
この人。
私の腸が煮えくり返るほど彼は笑う。
「おまえ。面白いな!名前何ての?」
穣先輩は私の顔をボンタンのズボンに手を入れて覗き込んできた。
「…本多 香…ですけど…」
ボソッと私は答えた。
バシッ!
「イテっ」
本で叩く音と共に穣先輩の声も響く。
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