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「ごめん。今日は帰るね。先輩。」
ダメだ…。
先輩に全て見透かされそうで怖かった。
私は逃げるようにそう先輩に告げた。
「そか。また明日な。」
私は立ち上がると先輩は静かに腕を解いた。
親からパクってきたスクーターまで先輩と手を繋いで歩いた。
その時も恐かった。
先輩に見透かされそうな心必死で隠していても手から伝わる先輩の温もりに何故か苦しくなっていた。
「香。無免で原チャリ乗り回してサツに捕まるなよ。チュウボウが原チャリってバレたら最悪だからな。」
先輩の優しさはいつもと変わらないのに…
何かが違う気がした。
「うん。ありがとう。」
私はそんな先輩の心配をよそにスクーターを走らせその場を後にした。
こんな私の異変に気づかない先輩じゃないって私が一番良く知ってたのに…。
知っていたはずなのに…
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