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「私の気持ちなんか分からないくせに!私の気持ちなんてあんたになんか分からないわよ。同じ転校生でもすぐこのクラスに打ち解けたあなたなんかに私の気持ち解るわけないじゃない!」
勢い良く怒鳴った私の目には涙が溢れ出しそうになっていた。
頭がカッとなって心が苦しくなる。
心がみだれた…。
それでも離さない瞬の手を勢い良くもう一度ふりほどくと瞬の手は私から離れた。
そして私は空の鞄を手にしてその場から走り去る。
何よ!あいつ…。
私は心でそう呟くと慌てて教室を飛び出し少しでもあいつの手の届かない場所へ逃げようと必死で走った。
走って走って…
ドンッ!
階段を駆け降りた次の瞬間私は勢い良く誰かとぶつかった。
「いってーな!何処見て走って…。香ちゃん?」
ぶつかった相手は穣先輩だった。
穣先輩と目が合った瞬間私は直ぐに目を背けた。
何故なら穣先輩に泣き出しそうな顔を見られたくなかったから…
「ごめんなさい。」
私は慌ててその場から立ち去ろうとしたが穣先輩が目の前に立ちふさがり右往左往していた。
「すみません!通して下さ…」
立ち止まったその瞬間穣先輩があたしの髪で隠れた顔を覗き込んできた。
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