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「………何?」
話をかけようとしたら、先に少女から話をかけられた。
真っすぐできれいな瞳。
透き通るような白い肌を漆黒の髪が、もっと白く見せている。
きれいな顔立ちの少女に、一羅は見惚れてしまった。
「……何?」
少女は再び一羅に声をかけた。
最初のとは違う、少し苛立ちが見れる声音で。
「あっ!べ、別に!
用はないんだけど…」
一羅がそう言うと、少女は興味がない、と言うように再びグランドを見つめた。
その姿が、一羅には「近づくな」と言っているようにも見えた。
しかし、一羅はあきらめずに話をかけ続ける。
「えっと…私は
古針 一羅(コハリ ヒイラ)!
あなたは?」
一羅は少女の隣に座り、にこにこ笑った。
すると、少女は一瞬不機嫌そうな顔をして、一羅を見、再び目線をグランドに移し、口を開いた。
「……篠里 泉(シノザト セン)」
「何組??」
「……5。」
「私も5組だよ!?すっごい!
運命じゃん!!」
人懐っこい一羅は、泉との会話を楽しんだ。
まぁ、会話というか、一羅の質問を、口数の少ない泉が答えていただけだけど…。
そのあと、一羅は泉に別れを告げ、家へと帰った。
クラスとかじゃなくて、なんか…
違うところで泉を見たことがあるような気がする…
一羅は自転車を走らせながら一人そんなことを考えていた。
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