欲しかった勇気

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あたしは勇気が欲しかった。 先輩に片思いをし始めて約一年がたった。勇気がないから一年も告白せずにいた。 来年、先輩とはバラバラになっちゃうのにのんびりしすぎかな。 「葉月~!!」 葉月とはあたしのこと。 友達の早苗が声をかけてきた。 「葉月、一之瀬先輩がバスケしてるよ!」 「ホント!?」 あたしはグラウンドを見た。 一之瀬先輩、あたしの片思いの先輩で成績優秀。 「格好いいね。あ、ダンク、決まったよ!!」 「すごすぎるよ~!一之瀬先輩!しびれる~!」 「はぇぇ動きだったな!」 とか あたしの周りで歓声があがっている。 時にはこんな事を言う人も。 「彼女、いんのかなあ?」 「彼女にしてもらえないかなあ」 あたしの願望。 何もしてない、ただ見ていることしか出来ないあたしの願望。 「葉月、いい加減告れば?」 「どうしたの?いきなり。」 かなりいきなりだよ、早苗。 「この近くにある神社に恋愛成就の神様がいるって聞いたことないの?」 「あるけど……。信じてない!」 本当の事だし。 「あんたね、ものは試しって知らないの!?」 怒られても怒鳴られても困るんですけど。 「そこのお守り買ってきなよ。」 かなうと評判のお守りかあ。
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