疑い

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「劉備はわしに無いものを持っている。だから欲しい、家臣としてな」 「あの男は俺にもわからん。だがあまり期待はするな、俺には何も惹かれん。ただ近づいてはならぬ男だと思っている。手強い……というべきか」 「くくっ手強い、そうだな。あやつには何を与えても靡(なび)かぬ。だがな夏侯惇」 にやりと曹操は笑った。夏侯惇はその表情が苦手だった。従兄弟である曹操には自分よりも遥かに天に近く恐ろしい男。 「ああいう男を手なずけることができなくては天下統一などできん。わしは劉備を必ず飼い馴らしてやる」 よりにやついた。
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