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ぼくがやっとのことでミライに追い付くと、彼は止まり大きな家を見ていた。
「ここがアイリネに所属しているメンバーが住む家」
ミライは呆けているぼくを見ると、ため息混じりの声で言う。
「あんた。大丈夫か」
「えっうん。大きな家だな」
「大病院のおぼっちゃんがなに言ってんだ。入るぞ」
ミライが門をくぐり抜ける。ぼくは慌てて追いかけた。
しかし、門をくぐり抜けようと思った時。ふと思い止まった。
ぼくがここに入るのを認めてない人が、ミライの他に居るのではないか
と思ったからだ。
それに気付いたのか、ミライが振り向くとぼくの方まで来た。
「あんた。何してんだよ。姉さんが待ってるんだぞ」
「いや……あのさ」
ぼくが視線をさ迷わせていると、頭に強すぎる衝撃をうけた。
痛みで頭を抱え、しゃがみこむ。
「あんたはほんとに勘違いの多い奴だな!」
「痛い……どこにそんな力が」
「本気でやだったらここまで連れてこずに、あんたが行きたい『シイリンパーク』に置いてきてやったよ!」
シイリンパークはオン会の合流会場だ。幸司村から近いらしいが、村外は武器を持たねばいけないので、それを所持してないぼくには行けない場所だ。
「……どういう意味だよ」
「そのまんまの意味さ。邪魔な奴ならこの世界から消すってこと」
ミライが当然のように言う。ぼくはミライの腰にあるナイフを見る。
あれで殺されたら堪らないだろう。
ぼくは喉をおさえた。
ミライが可笑しいのか、喉で笑い、ぼくの顎を掴む。
「あんたを殺す時はナイフなんかで殺してやらないよ。最大級の氷呪文で氷漬けにしてやるって、ずっと前から決めてたんだから」
「魔術士だったのか」
「見た感じ。魔力高そうだろ?事実高いんだけどな」
ミライはぼくの顎から手を離すと、後ろを向いた。
「ほら。いくぞ。いつまでもそんなとこで座ってんな」
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