始まり

5/10
前へ
/135ページ
次へ
少しして、浴槽の中から弥が打った頭をさすりながら笑みを浮かべて立ち上がった。 「覗いた時にさー、足滑らしちゃって…、でもおもしろかった。」 と弥は腹を押さえ笑いながら理由を言った。 「もう、脅かさないでよぉー」 涼風たちは怒ろうとして言ったけれど安心感から涼風たちは笑ってしまった。 僕や直人もつられて全員で笑った。 みんなが風呂場を出た後、僕は弥が落ちた浴槽を何気なく見た。 覗いた時、僕は何か違和感をその浴槽の中に感じた。 何がどうだ、とかいう具体的な違和感ではないものの寒気を感じた。 敢えて言うのであれば視線、それも、冷たくて憎しみのこもったそれが向けられているように感じた。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

160人が本棚に入れています
本棚に追加