一つの歯車

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「はあ、はあ、はあ……」  半ば欠けた月と数多の星が見守るなか私はまだ山の中を走っていた。  結界を発動させてから3日過ぎた。  あの場所はかなり人里離れた山奥にあり、最寄りの町まで40kmと素晴らしい程離れていた。  今はやっと町の明かりが見えてきたあたりだった。  ……シャワー浴びたいなあ……  川で水浴びはしたけど、流石に裸になるのは恥ずかしいし……  ……食料も底をついてきたし……  町についたらダイエットとか気にしないで食べたいな…… 「……なんて現実逃避してる場合じゃなかった」  今、私は追われる身…… 『右! 斜め後方より接近!』 「もう、しつこい!『シールド』!」  グオオォォォン  ガラスが一気に割れるような音の後、獣が吼えるような声がした。  愛機『シンディア』の索敵のおかげで防げた。  足を止めて2日前から追いかけてくる敵と相対する。  イノシシのように巨大で丸々とした体に狼のように鋭い口、毛の色は黒く、あの『蛇』のように目は赤々と輝いている。  確証はないけどあれはこの世界に『落ちた』13個のロスト・フラグメントの1つだろう。  何故私が追われるのかは、恐らくはあの『蛇』とリンクしていて敵対勢力の情報を得ていたからだろう。  仮にも私は『蛇』を封じ込めた敵だ、最優先抹殺対象にでもなっているのだろう。
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