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『そうか……寂しい、か……やっぱり君が私を呼んでくれたみたいだね』
今度は若いお姉さんみたいな声になった。
「ねえ、一緒にいてくれるの?くれないの?」
返事が待ちきれないのか少年は答えを急かした。
『ああ、君さえ良ければ一緒にいていいかい?』
「うん!」
少年は満面の笑みで返事をした。
『でも、一つだけいいかい』
今回は少年と同じ位の少女の声だった。
「なぁに?」
『これから君は不幸になってしまう……でも、その時は自分じゃなくて私を責めるんだよ……』
少年の周りを回っていた『光』が少年に収束していく。
『私は時が来るまで君の中で君を守っているよ……』
「待って、君の名前は……」
『私の名前は……』
「っ……!」
少年、渡辺恭介は自分のベッドで跳ね起きた。
起きた時に夢の内容は忘れていたが……
「『熱い』……!」
自分のからだをギュッと抱きしめる……
体ではなく心が熱かった。
その時、誰も知らない内に少年の運命が変わっていた……
その運命を少年が知るのはだいぶ後……
『少年』ではなく『彼』と呼ばれるようになる年になってからだ……
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