一つの歯車

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 無接触世界に落ちたロスト・フラグメントの内一つを早々に発見出来た。  場所はどこかの山奥でよほど大騒ぎしなければこの世界の人間に気づかれる心配はないという理想的状況だ。  しかし…… 「く……陸戦部隊は支援に集中! 空戦部隊は機動戦に持ち込め! 1つの頭ばかりに注意するな!」  β級だと思っていたらα級の中でもかなり上級のロスト・フラグメントだった。  どんな性質を有しているかわからないため、上位魔族でも相手でない限り多少数が多くても対応出来る位の戦力はあった。  しかし、この防衛機能との戦闘開始からほとんど時間を必要とせず、劣勢に陥った。 「くそ、生き物でも取り込みやがったのか!異常に存在が安定してやがる」  今、私たちと戦っているのは巨大な蛇だった。  体長は100㍍をゆうに超えて、頭は8つに別れ目は赤々と輝いている。  ウロコは異常に硬く、魔法の抵抗力も高いようでダメージを与えている感触がない。  一方私たちは怪我の無い方が珍しく、既に手遅れの人さえいる。  ……このままでは全滅だ……  というのが誰も口にはしなかったが全員の見解だった。 「救援はいつくる!?」 「そんな……連絡が取れません」 「こんな時に面白くも無い冗談をいうな!」 「冗談でもいいませんよ! こんなの全く笑えない!」  状況は絶望的だった……
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