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「どうしたんですか?」
何も知らない輝は竜真に訪ねた。
「泰司さんは5年前…高校2年の時に亡くなったんだ。」
「でも何もおかしい事はないじゃないですか。」
竜真は深刻な顔になった。風が部室のドアを叩いて部室中に音が響き渡っている。
「この学校は5年前に開校したんだ。違う高校にいたのにスパイクがあるはずがない。」
雅人はスパイクを握り締めたまま下を向いて震えていた。
「人違いじゃないですか…?」
「いや間違いないよ。よく見たら泰司さんのスパイクだ。それにタイムまで…。」
竜真は雅人の顔を見た。
雅人はガクガクと身体を震わせていた。
その震えてる雅人の身体に竜真は手をやった。
「落ち着け…。」
その時雅人は何も言わず立ち上がり勢いよくドアを開け走り去ってしまった。
「雅人さんどうしたんですか…」
竜真は落ちたスパイクを拾いイスに座った。
「泰司さんのスパイクは雅人にとって思い出したくない過去なんだ。輝には話してやる。でもこの事は二人だけの秘密だ。」
輝は小さく頷いた。
「あれは俺達がまだ中学校2年だった頃の話だ…」
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