939人が本棚に入れています
本棚に追加
夕陽も沈みかけた頃泰司は立ち止まった。
「ついたぞ。」
二人が見上げたその先には陸上競技場が堂々とたっていた。
観客席はコンクリートで囲まれていてトラックの中の芝生は夕陽に照らされ金色に輝いていた。
「ここは…」
膝に手をつき息を調えながら竜真が言った。
「俺の夢だ。この一周で頂点に立つ!!お前らもそれが目標だろ??」
雅人は汗を袖で拭いながら言った。
「…そんな事を言う為に俺らを何10キロも走らせたのかよ。何が夢だよ。そんなの夢でも目標でもない。ただ陸上しか良いのがなかったからやってるだけだ。」
泰司は哀しい目をした。
「優勝したいと思わないのか??頂点に立ちたくないのか??」
「思わないし別に立ちたくもない。」
「そうか…」
泰司は朱色の空を見た。
最初のコメントを投稿しよう!