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「桜間!!早くこげ!!」
アキレス腱を伸ばしながら雅人は叫んだ。
「だから…ハァ…美奈子だって!!」
美奈子は坂を登り切った。
自転車を降り、右手を上げた。
坂の下で雅人も右手を上げた。
「よーい。ドン!!」
合図に合わせて雅人は走り出した。
「頑張ってぇ!!ファイト!!」
美奈子が叫んでいる。
長い坂道を雅人はたんたんと登ってきた。
雅人が美奈子の前を横切ったと同時に美奈子はストップウォッチを押した。
「55秒26。昨日よりちょっと落ちたね。」
雅人は息を調えながらペダルに足をかけた。
「お前のせいでな。」
美奈子は笑ってごまかした。
学校に遅刻したのは言うまでもない。
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