お水

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私はしばらく店で働くことにした。あれ以来奈保とはなんとなくギクシャクしたままで、私は自分の居場所を探していたのかもしれない。                      ―華やかな夜の世界―              それは私のイメージしていたものとは少し違った。名門大学生である私は、心のどこかで「お水」をバカにしていた。こういう仕事は、借金を抱えた不幸な生い立ちの子がやるのだと思っていた。ドロドロした女の世界。しかし現実はもっと明るくカラっとしていた。女の子達は控え室でも仲良くおしゃべりをし、彼氏の話で盛り上がる至って普通の子ばかりだった。                    ―それでも私は他の子とは違う―             そう思っていた。                   仕事も難しくはなかった。「新人さんか。頑張ってね」お客さんは皆そう言っていやらしさのカケラもない眼差しで優しく声をかけてくれた。今思えば、私に興味のない証拠だったのだろうが、当時の私は純粋に嬉しかった。                   そんな毎日がしばらく続いたある日、事件が起きた。
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