プロローグ

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退屈な毎日だった。   厳格な両親の元で、幼い頃から英才教育を受けたおかげで名門大学にも進学できた。          はじめての一人暮らし、はじめてのお酒、連日続くコンパ、有名な教授の退屈な講義。絵に書いたようなキャンパスライフ。    それがどうした。    「そろそろバイトでもしないとなぁ」       親から毎月仕送りはもらっていたが毎日友達と外食して飲み歩き、服やアクセサリーももっとほしかった。当然仕送りだけでは生活は厳しくなっていった。実家はどちらかというと裕福な方だったと思う。「足りなければ遠慮なく言いなさい」と母は毎日のように電話してきたが、私は頼みづらかった。        親に対する遠慮もあったし、お金が足りないのは酒代や服代だからという後ろめたさもあった。     「親には頼りたくない」という変な意地もあった。             「何かいいバイトないかなぁ」                      私はバイト情報誌を読みあさった。        『フロアレディー時給3500円以上!お酒をつくるだけの簡単なお仕事!』    ふとそんな広告が目に飛び込んできた。真面目で厳格な家庭で育った世間知らずな私は、お酒をつくるだけなら・・一日だけ、やってみようかな・・嫌なら辞めればいいしと軽い気持ちで、そこに書かれていた番号に電話をかけた。
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