1:零Ⅰ

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時峯 晶(ときみね あきら)は公道をバイクで走っていた。気配を感じ、「チッ!」と舌打ちをした。人気のない路地裏にバイクをカーブさせ、一直線に走り静かな廃工場の前でバイクを停めた。中に入ると、6m程先には人間ではないコウモリのような形をした異形の者が人間の体を食っている。そう、先程感じた気配とはこの異形の者のことだ。そして、スッと立ち上がり晶の方を向いた。ゆっくりと、「コヒュー、コヒュー」と、喉が渇ききったような声で近付いてきた。しかし、晶は動揺せずに手の平を腰の横にかざした。「変身‼」晶がそう言った瞬間、上から下にかけて一気に体が形を変えた。暗い緑の体に赤いラインを煌めかせ、赤く大きな目を輝かせた者えと変身したのだ。
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