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希良たちは一時的に合宿所に入った。
そこは殺風景で、2段ベッドが無数に置かれた部屋が5部屋と居間と台所、シャワー室とトイレしかなかった。
5人は無言で居間に座った。
居間には昨晩の残りもののお菓子やジュースが置かれたままだった。
思い思いに何かを考えているのだろう。
みんな眉間にシワを寄せている。
隼人だけはどうしてよいかわからないといった顔で希良と幼なじみでよく遊んでくれた真の顔を行ったり来たりと見ていた。
グゥゥ
隼人の腹の虫が静まった部屋に鳴り響いた。
「ほら、あまりもんだけど食え。朝ご飯食ってねぇんだろ?」
そう言って真は隼人に菓子パンを渡した。ついでにオレンジジュースも注ぎ、隼人の前に置く。
「ありがとう、真兄ちゃん」
隼人は真にお礼を言うと菓子パンをほうばる。
希良は食べるのに夢中になっている隼人を横目で見ながら雅に話しかけた。
「朝になったらこうなってたの?」
こうとは校舎の中の事だ。
雅はオドオドと答えた。
「昨日の夜はなんともなかったの…合宿所で寝て、朝、忘れ物を取りに行ったら変になってて…」
話しながら雅の顔は青くなっていく。
その時急に地面が揺らぎ始めた。
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