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下を向いて動かない希良の肩に真はそっと手を添えた。
「希良、1度俺ん家に来い。隼人もな」
隼人の頭に手を添える。希良は小さく頷いた。隼人は少し戸惑ったが真の手を握った。
「あ…あたし…1回家戻るね、なんか心配になってきちゃって…」
「僕も…帰るね、雅ちゃん送ってくから…希良ちゃん、安心してね。」
返答はなかったが、真が頷いたため雅と泰彦は学校を後にした。
「希良…行くぞ」
真は希良の腕を掴み学校の外へ歩き始めた。
…お姉ちゃんが怒鳴るの3年ぶりだな…
隼人は上目使いでチラチラと希良を見ていた。
…あれはお母さん達が死んで1週間くらい…泣いてたボクにお姉ちゃんは…
[いつまで泣いてんのよ!!泣いたってお母さん達は帰ってこないんだよ!!いい加減にしてよ!!あたしだって!]
…お母さん達が死んだ後、お姉ちゃんはボクの前では泣かなかった。…いつも目は真っ赤だったけど…
…でも悲しくて寂しくてボクは泣いてたんだ…ずっと…ずっと…
…でもボク気づいたんだ、ボクにはお姉ちゃんがいるんだって…
…でもお母さん達がいたらもっと良いって思ったから…
隼人も下を向いてしまった。
真は小さく溜め息をついた。そして、希良に目配せをした。
「あっ…」
…あたし隼人に酷い事を言っちゃった…。
希良は真の顔を見たが
『自分でどうにかしろ』
と真の目は告げていた。
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