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「隼人ぉ~明日はお墓行くんだからねぇ~ちゃんと早く帰ってくるのよ~」
目玉焼きを作りながら言った。
「あ!」
顔を拭きながら隼人はヤバいという顔をした。
呆れた顔で希良は隼人を見た。
「なに?」
「明日…試合があるんだ…ボクスタメンで…」
隼人は小学校の野球部に所属しており、ピッチャーをやっていた。
「…何時には終わるの?」
お皿をテーブルに並べ、エプロンを外して溜め息をついた。
「多分6時には…」
洗面を終え上目使いで希良を見ている。
「仕方ないわね、試合終わってから、行きましょう、3周忌だからね…」
小さい茶碗にご飯を盛り、仏壇に備え隼人に言った。
「母さん達も隼人が頑張ってくれた方喜ぶだろうしね。」
両親が死んだのは隼人が小3で希良が中2。幼かった。隼人は案の定、毎日目を腫らし学校にも行かなくなった。
立ち直ったのは半年後…隼人は笑ってくれるようになり、希良がホッとしたのを覚えている。
「ほら!もう行かなきゃ!」
「ん~!!行ってきまーす」
早食いでテーブルの皿を空にし、口にもぐもぐさせながらランドセルを背負い玄関に駆け込む。
それを見送り希良は自分の用意を急いだ。
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