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希良は黒いワンピースを着た。鏡に移る自分は髪が胸まで伸びていて少し大人びて見えた。
あれから3年だね…
鏡に頭を小突いた。
初めて喪に服した時はもう少し幼げな自分が鏡越しに見れた。
「っだいま!!」
隼人が帰って来た。泥だらけで顔は笑顔でいっぱいだ。
「おかえり、その顔は試合勝ったのね」
「うん!!」
ホントに嬉しそうだった。
「ボクシャワー浴びてくるね!」
そして急いでお風呂場に消えていった。
お墓は希良の家から30分歩いた所にある。
隼人も黒い服を着て希良の横を歩く。手には母が好きだった白百合の花を抱いている。
「お父さん、お母さん…」
墓前に立ち希良は少し寂しげな顔をした。
隼人はせっせとお墓の掃除をしてくれた。
暗がりの中希良は手を合わせる。
空には無数の星が降り注ぎはじめていた。
希良に続き隼人は見よう見真似で手を合わせる。
星は降り続くのを止めなかった。
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