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『流星群は未だに観測されており、これはあと3日間続くと予想されます…』
朝のニュースは流星群についてまた報道していた。
今日は土曜日のため学校は休みなのだが習慣で希良は早起きをしていた。
ぼーっとTVを見ていた。しかし、その時隼人は部屋のドアを乱暴に開けると希良に抱きついた。
「どうしたの?オネショでもしたの?」
呆れた声で隼人の頭を撫でる。
顔を上げた隼人は困惑しているように見えた。
「お…お…」
隼人は言葉が詰まってしまった。
希良は呆れ顔のまま隼人の顔を覗き込む。
「だから、オネショしたんでしょ?」
そう繰り返す希良の手を隼人はふりほどいて告げた。
「お父さんとお母さんがいたんだ!!」
困惑した顔のまま隼人は大声で告げた。
「はぁ?夢を見たんでしょ?…お父さんとお母さんは…」
隼人が夢を見たのも仕方ないと思った。希良は溜め息をつきなんとなく隼人が開け放したままの扉に目を移した。
「お…父さん…?」
ゆっくりと視界には昔のままの父とその後ろからはエプロン姿の母が現れた。
「な…なんで…!?」
希良は現状が判らずに後退りをした。
そんな希良になんとはなしに母は言った。
「希良ちゃんは早起きね、今朝ご飯作るからね」
そう言って笑いかけた顔は生前の母そのものだった。
なに?これ?どういうこと?
希良は困惑して固まっていた。
隼人も同じだった。
ピピピ…
希良の携帯がメールを受信した。
目の前の光景を視界に入れたまま、メールボックスを見ると雅からだった。
[ちょっと!なんか学校が変なの!すぐ来て!!]
雅も何かの変化を察知したのかメールは急を要するようだ。
固まった体をゆっくりと動かしながら母と思われる人物に言った。
「お母さん、あたし朝ご飯いらないわ。学校に急いで行かなきゃいけないから」
「あら~そうなのぉ、食べてから行けば良いのに」
母は残念そうな顔をした。
「は…隼人も一緒に行くわよ」
希良は隼人の手を握り逃げるように部屋に戻って着替えると放心状態の隼人に適当に服を着せ急いで玄関口へ向かった。
「希良!隼人!」
父に呼び止められ2人はビクッと体を震わせた。
恐る恐る振り返ると父は笑顔だった。
「車には気をつけるんだぞ!あとあんまり遅くなるなよ。」
隼人はぎこちなく父に微笑んでみせた。
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