02.月の舞円[ロンド]

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02.月の舞円[ロンド]

ある晩 空には鮮血の月。 くるり くるりと舞円を魅せる。 その姿はとても淋しげに 人々の目に映りました。 誰か一緒に踊りましょう そのコエは誰にも届きません。 姿が見えても コエは聞こえません。 月にとっては とても とても苦痛でした。 けれども月は 舞円を止めることは ありませんでした。 いつか誰かが気付いてくれると いつか誰かと共に踊れると 月は信じて 疑うことはありませんでした。 しかし人々は気付いていても 知らないふりをしていました。 月と共に踊ることは不可能だと そう 言いました。 それでも舞円を続ける月に 人々は祈りを捧げました。 いつか月にも 共に踊れる誰かを、と。 月は今日も独りで踊る。 くるり くるりと淋しげに。 「(月と人とその舞円)」
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