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03.言葉を失った旅人
あるところに
１人の旅人がおりました。
その旅人はいつも１人で
そして
いつも独りでした。
人と接することが
出来ない旅人は、いつも
下を向いて歩きました。
すると旅人は
いつも持っていると思っていた
大切なものを、いつしか
なくしてしまったことに
気が付きました。
顔を上げたときには
もう遅すぎました。
旅人は思いを伝える術[ｽﾍﾞ]を
無くしてしまったのです。
感情があっても
それを表すことは出来ない。
旅人はとても
もどかしくなりました。
散々考え
旅人はふと足を止めました。
その術を探しにもう一度
来た道を戻ることに
決めたのです。
落としてきたものを
ひとつ ひとつ
拾い集めることにしたのです。
旅人は振り返り
その来た道を戻りはじめました
術の大切さを思い知り
取り戻すためなら
始まりの地までも戻ろう、と
そう心に決めました。
そして今から
旅人の新しい旅が
再び、始まりました。
「(言葉は
思いを伝えるのに大切な術)」
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