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「ぉはょぉ。」
「今日もいい天気だねぇ。学校さぼっちゃおうか(笑)」
朝の挨拶が飛びかう教室で周は目を疑った。
――あの端が笑ってる!?つい昨日は無口無表情だったのに…。
「…ぉぃ。端。あのさ。……。」
―なんでそんな変な顔で俺を見るんだ?まわりの奴は笑ってるし…。
「君…誰?」
端からは思ってもなかった答えが返ってきた。
それと同時に沸々と怒りがこみあげてきた。
「…。なぁに言ってんだ!昨日おまえに校舎の案内をしてもらったんだろうが!」
「知らない。」
…💢まだまわりの奴は笑ってるし、俺の友達は無関心。
「駿河くん。この子は端じゃないよ。」
まわりにいた女生徒の一人が話し掛けてきた。
「は?だって同じ顔。同じ声…。」
「💡端と間違えてたんだ!私は端ぢゃないよ。私の名前は…」
と言い掛けたところで端がやってきた。
「…。」
やっぱり鋭い目付きでにこりともしない。
同じ顔が2つ。
ぁぁ💡ドッペルゲンガーだ💡
「…違うわ。」
端から考えを見透かしたように否定の言葉が返ってきた。
「私の名前は犀樹 円(さいき あかし)。端と円は双子なんだょ♪」
納得。顔が一緒なのも声が一緒なのも。
ただ…性格は正反対のようだな。
端が、名字でなく下の名前で呼べといった意味がやっと解った。
その夜周は夢を見た。
見知らぬ草原。
一面に広がる湖。
紅く不気味な月。
湖に揺らぐもう一つの月。
俺に背を向けて水面に浮かぶ女性。
ゆっくりと振り向く。
その瞬間 辺りは漆黒の闇に包まれた。
ただ…ふたつの月だけが笑っていた。
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