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「は……23世紀?」
(何をこいつは言ってるんだ?)
「どうも信じて貰えていないようだが。この状況を説明するなら一番しっくりくる答えじゃないか、あの塔をどう説明づけるつもりだ?」
「いや……だって普通―――」
無茶苦茶な論理展開だが否定できる要素がないことに気付く。
現に誠には自分の状況をはっきりと示すことができるものなどなにもなく、そこにあるのは知らない場所となんだかよくわからない塔だけだ。
「普通はそんなこと起きるわけないか……じゃあなんで学校にいたはずのお前がここにいるんだ?」
何も言い返すことができなくなり、あらためて不安が、誠を埋めつくす。
「そんなに青ざめるなよ。働くならうちで面倒みてやらんこともないがな。つっても金はそんなにないから贅沢はできんが」
誠は半ば放心している。
「まぁ、どうするか整理がついたらとりあえず何か言いにこい。晩飯は後で娘に運ばせるが、変なことしたら挽き肉にして明日の朝飯にするからな。」
霧人は部屋から出ていくときに誠の方を振り向いて
「あーそうそう、お仲間も呼んできてやるよ」
と言い残した。
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