ひまわり

ときめき

「ねえ！いつも、何を読んでるの？」

初めて、話しかけられた。

隼人は、本を閉じて、表紙を見せた。

今朝、たまたま本棚から、とっさに取った本だ。

本当に、読んでいたわけではなかった。だから、何の本なのか、気にも留めていなかった。

「あっ、これ私も好きなの。緒方君って、けっこう、可愛いんだ！」

（なんだ？こいつ…）

隼人は、顔を上げて、にらみつけた。

「あっ！可愛いだなんて、ごめんなさい。」

そう言うと、頭をちょこんと下げた。

前の方から
「葵！」
と、友達らしき者が呼ぶ。

「なに？」
「あっ。じゃあね！」

そう言うと、行ってしまった。