第四章 薔薇戦争 ~暗殺者来たる~

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「待てっていってるだろ、ばかキーツ!!」 イザヴェラはすたすたと歩き去ろうとするキーツの外套の裾をむんずと掴んだ。 「ッ!?放せイザヴェラ、俺はさっさと帰りたいんだ」 キーツはイザヴェラの手を振り払って再び歩き出そうとした。 しかし、 「待ってくれよ!!俺を捨てるなっつーの!!」 必死で足にしがみついてきたロゼによって足をとられキーツは見事に転倒した。 「ったく君はいつもいつも厄介事を僕に押し付けてさ!!」 「頼むよ!!俺の話聞けってば!!」 そのうえ転んだキーツの頭上には二人の怒鳴り声がのしかかってきた。 「・・・ッ五月蝿いな!!分かったよ、総帥に会わせるだけ会わせてやる!! 分かったら黙れ!!ってか暑い、離れろ!! アホンダラ!!」 流石にキーツも参ってしまったらしい。柄にも無く逆ギレしてしまっている。 しかし、こうしてロゼはキーツの仲立ちで総帥、ギリアム・オーギュストに会う事が許されたのであった。 それから三日後、総帥の強い要望もありロゼ・バルトークは正式に〝騎士の城塞〟の騎士として迎えられる事が決まり、入会式を執り行う事が急遽決定された。 「・・・騎士、ロゼ・バルトーク。君は世界の安寧の為にのみ剣を持つ事を誓うかね?」 〝椿の館〟大議場。薄暗い神殿めいた壮麗な空間に穏やかなギリアムの声が響いた。 丸眼鏡をかけ整った口髭をもつ白髪の初老の紳士は煌々と闇を照らす燭台の並ぶ巨大なテーブルの上座に腰掛け柔らかな笑みを浮かべた。 卓に列席するのはキーツら 〝騎士〟と一般会員である 〝従士〟総勢五十名であった。 そしてギリアムと正対する形で佇むのは新入会員のロゼだ 「もっちろん」 「では、我々は君を会員として認めよう。 ・・・我らが剣は安寧の為に・・・」 「「そして 我らは世界の盾たらんとす」」 ギリアムの声に応じ五十の声が唱和し、彼らは一斉に腰に携えた金の宝剣を抜き放ち高らかに掲げた。 「ようこそ私達の組織へ。共に闘おうじゃないかロゼ君」 こうしてロゼは新たなる道へ足を踏み入れたのであった。
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