図書館

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しかし、このエアポケットからは直截的に霊的なものは感じない。 と思う。でも単純に俺の直感が至らないだけなのかも知れない。 そこで一番嫌な感じのする場所に、あえて踏み込んでみた。 周囲の目もあるので、適当に掴んだ本を開いてその場に立ち続ける。 嫌な予感をぐるぐると渦巻状にしたようなものが、下半身にズーンと溜まっていく。 段々と周りの光が希薄になり、酸素が足りてない時のように視界が暗くなって、そしてすぐ隣で同じように本を立ち読みしている人が止まったまま遠ざかっていくような、雑音が消えていくような、気圧が低くなっていくような…… 思わず飛びずさった。 何も感じないらしい隣の人が、なんだろうという表情でこちらを見る。
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