怖い夢

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俺はすべてが終わったことを、そのとき初めて知ったのだった。 去年の夏から続く一連の悪夢が終わったことを。 結局俺は、さいごは蚊帳の外で。なんの役にも立てず。 京介さんや彼女を助けた人たちの長い夜を、俺は翌朝のパチンコをする夢で過ごしていたのだった。 「まいったな。泣くほど怖いのか。こどもかキミは」 泣くほど情けなくて、恥ずべきで、そしてポケットに入れた魔除けのお守りをすべて投げ出したくなるほど、嬉しかった。 京介さんの、夢を見た朝が、どうしようもなく嬉しかった。
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