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ある夜である。 いきなり耳をつんざく悲鳴が聞こえた。 初代スーパーマリオのタイムアタックを延々とやっていた俺は、コントローラーを握ったまま部室の中を見回す。 数人のサークル仲間が思いおもいのことをしている。誰も無反応だった。 「今、悲鳴が聞こえませんでした」 と聞いたが漫画を読んでいた先輩が顔を上げて「エ?」と言っただけだった。 気のせいか、とも思えない。 サークル棟すべてに響き渡るような凄い声だったから。そしてその証拠に、まだ心臓のあたりが冷たくなっているな感覚があり、鳥肌がうっすらと立ってさえいる。 部室の隅にいた先輩が片目をつぶったのを、俺は見逃さなかった。
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