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誰もドアから顔を出して、悲鳴の正体をうかがうような人はいない。
その中を、確かに聞こえた悲鳴の残滓のようなものを追って歩いた。
そしてある階の端に位置する空間へと足を踏み入れた瞬間、背筋になにかが這い上がるような感覚が走った。
やたら暗い一角だった。
天井の電灯が切れている。もとからなのか、それともさっきの悲鳴と関係があるのかは分からない。いずれにしてもひとけのない廊下が闇の中に伸びていた。
背後から射す遠くの明かりと、遠くの人のざわめきがその暗さ、静けさを際立たせていた。
かすかな耳鳴りがして、俺は「ここだ」という感覚を強くする。
このあたりには何のサークルがあっただろうと考えながら足音を消しながら歩を進めていると、一番奥の部室のドアの前に人が立っているのに気がついた。
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