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向こうも気づいたようで、こちらを振り返った。
薄暗い中を恐る恐る近づくと、それは髪の長い女性で、不安げともなんともつかない様子で立っているのだった。
「どうしたんですか」
と声を殺して聞くと、彼女はなにか合点したように頷いた。
たぶん、彼女も反応したのだ。バカ騒ぎする不夜城のなかでわずかな人にしか聞こえなかった悲鳴に。
顔色を伺うが、暗さのせいで表情まではわからない。
「俺も、聞こえました」
仲間であることを確認したくてそう言った。
「ここだと思いますけど」
女性のかぼそい声がそう答えて、俺は視線の先のドアを見た。
プレートがないので、何のサークルかはわからない。頭の中でサークルの配置図を思い浮かべるが、この辺りには普段用もないので靄がかかったように見えてこない。
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