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中に入ろうとするが、磁場のようなものに体が拒否されているように動けない。 いや、たんにビビッていただけなのだろう。 俺はしばらくそのままの姿勢でいたが、やがて首だけを巡らせて後ろを向こうとした。 一体彼女は何に叫んだのか。 そのとき、あることに気がついた。 この廊下の一角は、あまりに静かだった。 やってきたときと変わらずに。 さっきの彼女の叫び声に、このサークル棟の誰も、様子を見に来ない。
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