家鳴り

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大学2回生の夏のこと。 俺は心霊写真のようなものを友人にもらったので、それを専門家に見てもらおうと思った。 専門家と言っても俺のサークルの先輩であり、オカルトの道では師匠にあたる変人である。 彼のアパートにお邪魔するとさっそく写真を取り出したのであるが、それを手に取るやいなや鼻で笑って、 「2重露光」 との一言でつき返してきた。 友人のおじいちゃんが愛犬と写っているその後ろに、ぼやっと人影らしきものが浮かび上がっているのであるが、師匠はそれをあっさりと撮影ミスであると言い切ったのだ。 俺は納得いかない思いで、「それならいつか見せてもらった写真にだって似たようなのあったでしょう」と言った。 その筋の業者から買ったという心霊写真を山ほど師匠は持っているのだ。 ところが首を振って「今ここにはない」と言う。
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