家鳴り

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気がつくと暗い部屋の中に、ぼうっと淡い光を放つ奇妙な形の仏像がひしめいていて、師匠が包まっている布団が部屋の真ん中に浮かんでいる。という、なんとも荒唐無稽な夢を見てうなされ、俺は目を覚ました。暑さと寝苦しさのためか、うっすら汗をかいている。 当然部屋には仏像や、師匠のオカルトコレクションの類は出現しておらず、部屋のヌシも床の上の布団で寝ているのだった。 「もう夜ですよ」と揺り起こすと、窓の外をぼうっと見て「おお、いいカンジの時間」とぶつぶつ呟き、師匠は布団から這い出てきた。 「ボキボキ」と口で言いながら背伸びをしたあと、師匠は着替えもせずに俺をアパートの外へ連れ立った。 深夜である。 特に荷物らしきものも持っていない。 ボロ軽四に火が入る。
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