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助手席で「どこ行くんスか」と問うと、アクセルを踏みながら「隠れ家」と
言う。
「え」
それが存在することは想像はついていたことだが、ついに招待してくれるほどの信頼を得られたらしい。
そもそも盗むほどのものがないと言って、家賃9000円のボロアパートに鍵も掛けずに出かけたりする人なのに、関西の業者から買ったなどと言っては、おどろおどろしい逸話のある古道具などを嬉しそうに自慢することが多々あった。
なるほど、それらを隠している場所が別にあったわけである。
北へ北へと車は向かい、すれ違うライトもほとんどない山道を蛇行しながら、俺はある感覚に襲われていた。
ふつふつと肌が粟立つような寒気である。
原因はわかっている。単純に怖いのだ。人間の恨みや悪意が凝った塊が、
この向かう先にある。心の準備も出来ていない。
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