家鳴り

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師匠も同じように向かいのソファに座り、ランプのかぼそげな明かりを挟んで向かい合った。 さっきまで寝苦しかったというのに、ここは空気は冷たい。 恐る恐る周囲を見回すと、四方の壁にミクロネシアだかポリネシアだかの原住民を思わせる黒い仮面が掛かっている。 ほかにも幽霊画と思しき掛け軸や、何かが一面に書かれた扇などが法則性もなく壁にちりばめられていた。 「ここが隠れ家ですか」 師匠は静かに頷く。 「どうしてわざわざ夜まで待ったんです」 ふーっと、深い溜息をついてから壁の一点を見つめて、師匠は口を開いた。
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