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心なしか、家鳴りが大きくなった気がする。
「食事もほとんどとらずに、げっそりと痩せこけながらこの絵を睨み続けていたある日、ふいに頭をあげた彼は、きょとんとした顔で家族にこう言ったそうだ。『わかった。これは』」
バシン・・・・・・ミシ・・・・・・ミシ・・・・・・
まるで師匠の言葉を邪魔するように、軋む音が続く。
「その4日後に、彼は家族の前から姿を消した。『地下室にいる』という書置きを残して。家族は家中を探した。けれど彼は見つからなかった。
それから、普通失踪の7年間が過ぎるのを待って失踪宣告を受け、彼は死んだものと見なされてこの土地と家屋は残された家族によって売り払われた。それを買った物好きは、この家に伝わる逸話が気にいったらしい。『地下室にいる』というこの言葉に金を出したようなものだ、と言っていたよ。僕はその物好きと知り合って、この家を借りた。まあ、なかば共同の物置のように使っている」
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