10円

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大学1回生の春。 休日に僕は自転車で街に出ていた。まだその新しい街に慣れていないころで、古着屋など気の利いた店を知らない僕は、とりあえず中心街の大きな百貨店に入りメンズ服などを物色しながらうろうろしていた。 そのテナントの一つに小さなペットショップがあり何気なく立ち寄ってみると、見覚えのある人がハムスターのコーナーにいた。腰を屈めて、落ち着きのない小さな動物の動きを熱心に目で追いかけている。 一瞬誰だったか思い出せなかったが、すぐについこのあいだオフ会で会った人だと分かる。地元のオカルト系ネット掲示板に出入りし始めたころだった。
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